gallery lara tokyo

自分の制作には「失ったものを修復する」という課題が秘められている。今回臨む制作においては、宇宙に広がる星々のように、見るからにモノクロでしか見えないが言葉の再生で写し取っている彼らの音に耳をかたむけるところからはじめることで自分の心と宇宙の接点を図ることを確かめる。
音は物体が震えることで発生し、そのふるえが空気に伝わり、空気の振動が耳の鼓膜に響き、その響きを音として我々は聴いている。音が聴こえるためには、物体の震え、鼓膜以外に、その震えを媒介する空気がなくてはならない。よって空気のない宇宙では音は聴こえないのだ。
この宇宙の、天体が動くときに音響が生じていると考えたのは、ギリシア哲学者のピタゴラスである。彼は天体が好転する時に音を発していると考え、その音は美しく解け合った響きであって、宇宙は大きな竪琴のようなものだと考えていた。大きさの面でも、動く速さにかんしても、天体よりはるかに劣った地上の物体が動いても物音がするのだから、天体などという規模の大きな物体が動けば、必ず音がするはずだ。しかも、太陽とか月といったあらゆる星、数のうえでもスケールの点でも桁違いな者が凄い速さで動いているのである。とてつもない大音響がしないわけがない、こう考えたのである。ピタゴラス自身は聴こえたとされたこの音響は、人々の耳には届かなかった。当時は天界の音楽は、まさにわれわれが生まれた瞬間から耳元で鳴っていたとされた。よってその反対である静寂と区別がつくことはなく、ざわめきと静寂は、たがいに比べてみなければ違いがわからないからであるという理屈がつくられたと言われている。アリストテレスは鍛冶屋を例にだして、鍛冶屋は一日中金属を打つその音を聴いているから騒音になれてしまうのだと語った。鍛冶職人は自らの生み出す一音一音にいつの間にか耳を傾けなくなってしまった、音が聴こえなくなってしまったのだ。鍛冶職人同様に自分の金槌の響きに耳をすますことを忘れてしまった人々がいる。それは「消費家」である。「消費家」はあまりにも日常生活に馴染み、生活することばかりに気を取られ、かつて耳をすましていたことを忘れてしまった。いつしか彼らは耳を傾ける変わりに、口と手を動かすことに懸命になって、そこに響く音を彼らは失ってしまったのだ。その大気のような「媒介」を「間」、「通路」、「部屋」と言い換えてもよいだろう。音を聴く行為とはピタゴラスの天体の音楽を聴くことそのものだ。その音色をききわけ、響きをたよりにその空間がどの程度の大きさなのか、星(音・メッセージ)がどの程度移動したかを測ることができる。音は距離なのだ。目ではなく耳で「距離」を測り、その距離を「差異」、「落差」、測る行為を「配列」「分配」といってもいいだろう。
音楽の根本的相違は聴取可能性にあるのではなく、音楽を作るという行為の考え方にある。前者にとって作曲とは構成(construct)することであり、足し算・かけ算による思考であるのに対し、後者の作曲とは配分する(distribute)ことであり、そこでは引き算・割り算が思考の方法になる。音を組み立て、まとめあげるか、または配分し、散らばせることもできる。西洋音楽では、ある限定された数の単位がもとになって、そこから多くの派生体が(足したりかけたりして)形成され、それらが展開されてくる過程で有機的に絡み合い、一つの音楽作品を構築する。反対に、宇宙は既に音で満ちている。わざわざ組み立て、構成する必要はない。世界は所与として音である。だから、その音=世界を適切に分割、配分し、節にかければそれが音楽になるのだ。人間、植物、昆虫、鉱物は等しく音であり、節の目や配分の度合いによって異なった音になる。音界は所与として流動である。だからその流動を適当に制御・分配すれば建築になることもある。音は撮るものではなく、鈴・雨・星・雲・川・海のように撮れるのである。記憶の扉が開け放たれ無数のささやきに満ちた時、記憶の連鎖が解き放たれ、渦巻き、星が散らばって、心の源泉に戻る。

キオ・グリフィス

 Kio Griffith

学歴

OTIS / PARSONS SCHOOL OF DESIGN

グループ展

「Zerre Projects」(イスタンブール・ビエンナーレ 2015)
「Water Works」(ランカスターミュージアム 2015)
「Phlogiston」(スプリット美術館・クロアチア 2015)
「Zerre Projects」(イスタンブール・ビエンナーレ 2015)
「From The Barricades」(クロイツバーグ・パビリオン・ベルリン 2015)
「XINLA BANSHO森羅万象」(ポール・ロヤ・ギャラリー・ロサンゼルス 2015) 「 Murmurs and Intrusions」(ダーデンレイ・ギャラリー・ロサンゼルス 2015) 「 Uncanny」(ミュージアム・ロサンゼルス 2015)
「 Blue Nova」Joshua Treenial(ボックスオー・プロジェクツ・ロサンゼルス 2015)
「Dowsing To Douse」Joshua Treenial(インテグラトン・ロサンゼルス 2015)
「南太平洋双六すごろく」(六本木605・東京 2015)
「Parachute」Parasophia(京都アウトレットセンター・京都 2015)
「Paradigms」Parasophia(京都アウトレットセンター・京都 2015)
「伝書鳩4」(アンテナギャラリー・京都 2015)
「Parabola」Parasophia(ギャラリー富小路・京都 2015)
「珊瑚海」(六本木605・東京 2015)
「Water Works」(ロフトアットリズ・ロサンゼルス 2015)
「Water Works」(ロフトアットリズ・ロサンゼルス 2015)
「Inaugural Show」(アウトポスト・プロジェクツ・ロサンゼルス 2015)
「Dragnet」(マンハッタンビーチアートセンター 2014)
「Something Within」(DACギャラリー・ロサンザルス 2014)
「The Great Wrong Place」Sluice(ノルテマール・ブルックリン・ニューヨーク 2014)
「伝書鳩3」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・ニテヒワークス 2014)
「I See You Never」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・ラーンチパッド・ギャラリー 2014)
「Million Year Picnic」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・ギャラリー・フー 2014)
「The Best Of Possible Worlds」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・アートバブー2014)
「There Will Come Soft Rains」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・ザイムアネックス2014)
「Body Electric」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・サクラワークス2014)
「Draftpunk 2: Carbon Footprint」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・ミッド東京ギャラリー2014)
「From The Dust Returns」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・市兵衞町ギャラリー2014)
「Here There Be Tygers」i:23(横浜トリエンナーレ関連企画・ギャラリーララ東京2014)
「Water Works」(ポーチギャラリー・オーハイ・カリフォルニア2014)
「White House | Red Room」(六本木605・東京 2014)
「Project LALO」(プロジェクトナンバー・ロンドン 2014)
「Project LALO 2」(スタジオワン・ロンドン 2014)
「in 2040」(ハウス・ロサンゼルス 2014)
「REVERB」(トーランス・アート・ミュージアム 2014)
「ART APART FAIR 」(シンガポール 2014)


受賞

2016 LACE (Los Angeles Contemporary Exhibitons) LOS ANGELES, CA Emerging Curators Award 2017
2002 PRINT DESIGN ANNUAL U.S.A. Certificate of Design Excellence
2001 SOCIETY OF ILLUSTRATORS LOS ANGELES, CA Certificate of Merit
……….
BIBLIOGRAPHY
2016 ARTBOUND / KCET LOS ANGELES, CA Red Wheelbarrows and Whispering Rainbows: The Sonic and Visual Art of Kio Griffith
2016 HUFFINGTON POST LOS ANGELES, CA Contemporary Artists Are Reinterpreting 17th-Century Japanese Erotica
2016 THE GUARDIAN LONDON, UK Finnegans Wake: a musical reading sounds out a cryptic text
2016 TITANIK MAGAZINE TURKU, FINLAND “AD HOC LA” THE REBEL ART SCENE
2016 TINY MIX TAPES LONDON, UK Recreating Finnegan’s Wake
2016 OPEN CULTURE LONDON, UK Hear James Joyce’s Finnegans Wake Read Unabridged & Set to Music By 17 Different Artists
2016 ANGELENO MAGAZINE LOS ANGELES, CA 5 Must See Exhibits
2015 ARTILLERY MAGAZINE LOS ANGELES, CA JAN/FEB ISSUE Guest Editor
2014 YOKOHAMA KEIZAI SHIMBUN YOKOHAMA, JAPAN i:23
2014 CHAFFEY REVIEW Volume 11 LOS ANGELES, CA Revolutions per Minute
2013 HUFFINGTON POST LOS ANGELES, CA Margin Release Right
2013 X-TRA LOS ANGELES, CA The Art Of Anthropophagy

作品

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